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供用開始差し止め訴訟の申立書

申立書の構成                                        仮処分骨子案

  • 道路計画と問題点
  • 外環問題の経過
  • 環境影響評価審査会の指摘と行政、事業者の対応                                                                                     準備書に対する答申、都市計画審査会における環境影響評価審査会会長の意見                                 評価書、都市計画決定権者の意見
  • 公害調停における調停案と事業者の対応                                                                                                    調停案公表、受諾勧告の意味                                                                                                                事業者側の拒否の回答、独自の影響予測                                                                                              市川市の要請に対する事業者の回答                                                                                                    環境監視計画における保全目標
  • 現行の騒音環境基準の問題点                                                                                                        国道43号線最高裁判決における受忍限度                                                                                   環境基準の改定における中央公害審議会での議論と「幹線道路近傍の特例」                           国道2号線広島高裁判決の意味 「現行の環境基準は不当」
  • 現状での外環供用開始は不当であり差し止めるべき                                                                      事業者自身が受忍限度を超える騒音を予測している                                                                   事業者の予測を上回る騒音さえ予想され、詳細な影響予測が必要。                                          少なくとも環境影響評価時の保全目標を達成できる環境対策が必要。

外環連合ニュース 2号

東日本高速道路会社が保存対象のクロマツを伐採

国道 14 号隣接地に仮移植中の 20 数本

「工事の遅れを取り戻すのに邪魔」の理由に市川市も同意

市川市内の京成菅野駅と国道 14 号の外環工 事を担当している東日本高速道路会社は「同 区間の工事が遅れていて、平成 29 年度の供用 開始に間に合わせるためには菅野駅側からだ けでなく、国道 14 号側からも工事を行う必要があり、クロマツが邪魔になる」として 14 号陷接地に仮移植していたクロマツ 20 本以上を 伐採しました。

当初「200 本全部残せる」と強弁 現状、ついに 50 数本のみに

外環路線上には菅野から平田にかけ 200 本近くのクロマツがありました。外環受け入れ か否かを審議した市川市議会の外環特別委員 会で国土交通省首都国道事務所は「移植でク ロマツは全部残せる」と強弁していました。 しかし市が受け入れ後の「クロマツ移植検討 会」でクロマツの半数以上は移植に堪えない ことが判明、半数以上が伐採され、移植可能 と判断された 70 数本が工事終了まで数か所 に分けられて仮移植されていました。今回伐 採されたクロマツはその一つです。

雨の中、伐採中止を求める住民、関係団体の声を無視し強行

伐採は 6 月 13 日の月曜日から行われ、情報を知った菅野、平田の住民や「まちづくり家づくり Café」「緑の市民フォーラム」のメンバーなど10数人が隙の中駆けつけ、工事関係者に伐採中止 を要請しました。しかし東日本高速道路会社の工事責任者は「既に市川市や地元自治会も了解して いる」として伐採を強行しました。市川市の担当者は「クロマツを出来るだけ残すよう要望はした が、道路の供用開始が平成 29 年度以降になってはと、強く残せと言えなかった」と弁明。住民か らは「道路優先で、クロマツは守るという約束を忘れた市の姿勢」と批判の声が上がっています。

「外環の供用開始が優先、環境は後回しなのか?」

今回のクロマツ伐採に対する市川市の姿勢は「ほかの環境問霔でも同じことにならないか」とい う懸念を私達住民に抱かせます。市川市は 2013 年に市長名で国(首都国道事務所)に対し、環境 問霔についての要請を行っています。このなかで市川市は「ジャンクションなど構造が複隑で影雸 が大きい場所での大気、騒雴の詳細な影雸予渑」「埼玉区間の外環や名古屋環状道路での大気汚染 の実態調査に基づく汚染寄与溋度の検証」「騒雴については幹線道路沿いの現状の緩められた環境 基渰(昼間 70 デシベル、夜間 65 デシベル)だけでなく、アセスメント実施時の保全目標だった旧環境基渰(昼間 60 デシベル、朝夕 55 デシベル、夜間 50 デシベル)を達成するように」「騒雴対策は景観に配慮したものとすること」「環境モニタリングは供用開始の少なくとも 2 年前から開始す る」などを要請しました。

市の要請に首都国道事務所は回答なしのまま

上記、市の要請に対し国から回答がないまま、2 年が経過した昨年 11 月、私達は副市長と会見 し市の要請に対する回答を事務所側に促し、きちんと回答をもらうよう求めました。 席上、副市長はこれを確約しましたが、いまだに国からの回答は来ていません。

環境問題未解決のまま、供用開始をさせないために

市がよほど強い働きかけをしない限り、国が市の要請に応える見込みはありませんが、今回の「ク ロマツ伐採」で見られたような「道路の供用開始優先」の姿勢では望み薄です。こうした状況から 私達は「環境問霔が未解決のままの外環の供用開始を認めない」という意思を裁判所への「道路の 供用開始差し止め」の仮処分申請という形で表明したいと考えています。

 

外環連合ニュース

PDF版       2016年3月外環ニュース01

外環工事で大きな地下水位低下      真間川周辺6.7メートル、京葉道周辺8~9メートル

外環道路路線沿線で急激な地下水位の低下が進んでいます。これは昨年12月に県で開催された「東京外かく環状道路連絡協議会・環境保全部会」で事業者(国、東日本高速道路会社)が外環計画沿道地域に90か所程度ある地下水観測井戸の水位について報告したデータで明らかになったものです。これによると工事着手前と比べ、真間川周辺で最大6.7m、京葉ジャンクション周辺で8~9mと極めて大きな地下水位の低下がみられ、その他の多くの観測井戸でも3~4mの地下水位低下がみられています。

国分、須和田地区の井戸20か所で井戸枯れ、工事の影響と認め、事業者側が緊急対応

地下水位の低下で周辺の井戸で井戸枯れの影響が出ていることも明らかになっています。今年に入って市川市が東日本高速道路会社から受けた報告では国分地区、須和田地区でそれぞれ10か所、計20か所程度の井戸で井戸枯れが生じ、事業者側もこれらが外環工事の影響であることを認め、暫定的な水道管を引く緊急対応をしています。 地下水位の低下傾向は2012年頃から顕著になり、現在、それが強まる傾向にあります。今後もこの状況が続けば地盤沈下など地上部へ影響も懸念されます。市川市、松戸市の外環と似た構造の名古屋環状道路では地盤沈下による多数の建物被害が生じ、国会でも問題になっています。

工事前説明会では「地下水低下は起きない工法」と説明   現状は「注意深く監視する」だけで対策なし

外環計画ルートにあたる市川市の中心部は「国分谷」と呼ばれる氷河期に造られた大きな谷に堆積物が積もった軟弱地盤であり、外環の工事にあたっては大量の地下水を排水しながら進めなければならないことが分かっていました。工事前の説明会では地下水低下に伴う井戸枯れや、地盤沈下を心配する住民の声がでました。しかし事業者は「連続隔壁で工事区域への周囲からの地下水侵入を止めたうえ、工事区域内でくみ上げた地下水は、周辺に設ける復水井戸を通して地中にもどしていくから、地下水の低下は起こらない」と強弁していました。今、事業者の対応は「注意深く監視をつづける」だけで、急激な地下水低下に有効な対策がない状態です。

幹線道路沿いの騒音環境基準      「住民に窓を閉めた生活を強いることに正当性ない」

国道2号線判決で広島高裁が断じる

2014年1月、広島高裁が国道2号線の騒音問題に関し、住民の受忍限度を「昼間屋外で65デシベル、夜間屋内で40デシベル」とし、これを超える地域の住民や勤務者に対し、賠償するよう国に命じました。この裁判で国は「幹線道路沿道地域の騒音の環境基準は屋外で昼間70デシベル、夜間65デシベルであり、この範囲であれば住民に健康被害はでない」と主張していました。広島高裁はこの環境基準について「幹線道路住民が窓を閉めて生活することを前提に決められたもので、国が住民に窓を閉めて生活を強いることには正当性はない」と断じています。

外環での国、東日本高速道路の騒音予測値は    菅野蓋かけ出入り口周辺、国道14号交差点付近などで

昼67デシベル、夜64デシベルと広島高裁判決の受忍限度を超える

国と東日本高速道路会社は外環の騒音予測値で菅野の蓋かけ出入り口周辺や国道14号交差点周辺の値として昼間屋外で67~68デシベルとしています。これは国道2号線判決で示された受忍限度を超えています。また同地域の夜間屋外での騒音を64デシベルなどと予測していますが、これは通常の民家では室内での値が40デシベルを確実に超えるレベルです。こうした値でも国と東日本高速道路会社が「環境は保全される」と主張する根拠は「国が決めた幹線道路沿いの環境基準内におさまっている」という、国道2号線裁判の場合の主張と同じです。「住民に窓を閉めて生活することを強いるような環境基準に正当性はない」という判決を広島高裁は既に下しています。

深刻な騒音被害がもたらされる道路の供用開始は不当      

「外環の供用開始差し止め」の仮処分申し立てに向け準備

広島高裁判決に従えば、国と東日本高速道路会社が行った騒音予測値は、外環道路が道路周辺の住民や道路周辺の学校に通っている学童、職場の勤務者などに深刻な健康被害をもたらすと判断すべき値です。私達はこのような道路の供用開始は許されないと考えます。外環道路の環境問題についは千葉県公害審査会が調停案を示し、話し合いによる円満な解決を勧告したにもかかわらず、国と東日本高速道路会社がこれを拒否した事実もあります。私達はこうした過去の経緯も踏まえ、裁判所に外環道路の供用差し止めの仮処分を申し立てる方針を固め、準備を進めることにしました。